社内導入の手引き

ツールを配る前に、
決めごとを3つ書く。

配って終わりにすると、チームは「使う人」と「使わない人」にきれいに割れる。分かれ目は道具の性能ではなく、最初の2週間に何を配ったかで決まる。

01

入れる前に決める

アカウントを配る前に、書いてよい情報の線引きと、うまくいかなかったときの引き返し方を紙に書く。

02

最初の2週間は課題を配る

「好きに使ってみて」がいちばん定着しない。全員が同じ小さい課題をやるほうが早い。

03

やめる基準を先に書く

続ける理由より、やめる条件を先に決めておくほうが、途中で冷静に判断できる。

01

「配って終わり」がうまくいかない理由

道具の問題ではなく、最初の1回で何が起きたかの問題。

アカウントを配ると、たいてい最初の週に全員が一度は触る。問題はその次だ。一度触って「思ったほどではなかった」と感じた人は、二度目を試さない。最初の1回の体験が、その後の半年を決めてしまう。

そして最初の1回は、たいてい失敗する。何を頼めばいいか分からないまま漠然とした質問を投げて、漠然とした答えが返ってくるからだ。道具が悪いのではなく頼み方をまだ知らないだけなのだが、本人にはその区別がつかない。

だから配るべきなのはアカウントではなく、成功することが分かっている小さい課題のほうだ。一度うまくいった人は、次から自分で課題を見つけてくる。

02

3つの段階に分けて進める

進め方

配る前・最初の2週間・1か月後で、やることが違う

01 — 配る前

決めごとを3つ書く
書いてよい情報の線引き、成果の置き場所、やめる基準。A4で1枚に収める。

02 — 最初の2週間

全員が同じ課題をやる
15分で終わる実作業を1つ。議事録の下書き、案内文の言い換えなど、正解が分かるもの。

03 — 1か月後

使っている人の手元を見る
アンケートより速い。うまい人の頼み方を、そのまま文章にして配る。

この順番を飛ばして「まず全社に案内」から始めると、決めごとが後追いになる。あとから線引きを足すのは、最初に書くより何倍も手間がかかる。

配る前に書くこと

決めごとは3つで足りる

増やすほど誰も読まなくなる。3つに絞って、A4で1枚。

決めること決め方決めないとどうなるか
情報の線引き「入れてよい」ではなく「入れてはいけない」を列挙する。禁止のほうが短く書ける各自が自分の基準で判断する。事故が起きるまで、ばらついていることに誰も気づかない
成果の置き場所うまくいった頼み方を貼る場所を1つ決める。共有フォルダでもチャットの1チャンネルでもいい個人のチャット履歴に溜まり、他の人に回らない。同じ工夫を全員が別々にやり直す
やめる基準「3か月後、週1回以上使っている人が半分に満たなければ見直す」のように、数字と期限で書くなんとなく続き、なんとなく誰も使わなくなる。判断した人がいないので振り返りもできない

情報の線引き

入れてはいけないものを先に書く

「気をつける」では運用できない。名前で列挙したものだけが守られる。

入れてよい

自分で公開できるもの

  • 公開資料・すでに社外に出している文章
  • 固有名詞を伏せた業務の相談
  • 自分が書いた文章の言い換え・要約
  • 一般的な手順や考え方の質問
入れない

他人のもの・鍵になるもの

  • 取引先から預かった資料・見積・図面
  • 従業員や顧客の個人情報
  • パスワード・APIキー・アクセストークン
  • 未発表の価格・条件・契約内容

迷ったときの一言

「これを、そのまま社外の人に見せられるか」で判断する。見せられないなら、固有名詞を外してから相談する。外せないなら、その相談自体をやめる。

まとめ

配るのはアカウントではなく、最初の成功体験

決めごとを3つ書いてから配り、最初の2週間は全員に同じ課題をやってもらう。1か月後に、うまくいっている人の頼み方を言葉にして回す。この順番を守るだけで、「使う人と使わない人に割れる」といういちばんよくある失敗は避けられる。